警備会社元職員の内部告発

 以下の記録はCさん、30歳代男性、警備会社「アイム」の元職員の証言です。2000年8月7日に行なわれた記者会見の席で語られた内容を入管問題調査会でまとめたものです。

 警備会社アイムは、成田空港で入国拒否された外国人の身柄を預かり、「上陸防止施設」まで移送する仕事を、航空会社から請け負っている警備会社です。

チュニジア人2名に対する暴行事件 / 航空署によるもみ消し

 2000年6月20日に事件(アイムの職員が、そのチュニジア人2名を殴ったりして、警備料を支払わせた事件)があり、21日に私は事件を知った。すぐさま防止施設にいって、通訳を介して事情を聞いた。訴えを起こしたいなら私たちが手続きをします。と私はそのチュニジア人に言った。本人は「訴えたい」と言った。そして詳しい申立書を書き、代理の人に空港署へ持っていってもらった。

 空港署の警察官に事情聴取をしてもらったら、警察発表では、そういうこと(暴力事件)はなかったといったという。私が聞いた話とは食い違っていた。お金を返してもらったという領収書がある。会社が書いて入管に提出した顛末書もある。

 今回のチュニジア人の件では航空署が調査に入った段階で、あわてたアイムは警備費用の全額を本人に返している。航空署の警察官が「訴えを起こせば長期間収容される」と脅し、「事件はなかった」とする陳述書を本人に書かせて帰国させた。そのあと本人らは本国の日本大使館に申し立てをして、法務省の知るところとなった。

暴行は日常的だった

 このチュニジア人のケースばかりでなく、暴行は日常的だった。私自身が暴行をふるったこともある。

 ビンの割れる音がして血だらけになった中国人の話も聞いたことがある。JALでオーストラリアから来たイギリス人(レストハウス302号室)が薬を飲んで自殺をしたこともある。送還途上の人で、頭がおかしくなっていて、もっと会社は注意をすべきだった。ポケットの中のものを検査して、取り上げるべきだった。この自殺の件は成田空港署も調査している。

恐喝まがいの警備費用の取り立ては会社の方針

 暴行は日常茶飯事で、私は我慢して働いてきた。精神安定剤を飲まなければ、やって行かれないようになっていた。会社の方針として、何が何でも、たたいてでもお金を取れと言うことになっている。本来、上陸防止施設に宿泊する場合の警備料金は 2万 4000円、レストハウスに宿泊する場合は3万円、おとなしい人が相手なら4万円も5万円もふっかけてとる。こういう警備会社は成田だけではない。こんな会社は、排除していただきたい。

 2万4000円と言う金額は、発展途上国の人にとっては大金である。中には借金してきている人もいる。だから、払えと言うと抵抗する。。私たち取り立ての場面には、上司が必ずいる。上司に「とれない」と報告すると、「そこにおいとおけ、私が行くから」と言う。はじめは言葉で説明する。航空会社に負担はかけられない、と言うのが会社の考えだ。

 殴りたくもないのに、殴らざるを得ない。上司のやり方を見ていると、わざと本人(入国拒否を受けた人)の神経を逆なでするような態度をとる。紙で顔を突っついてみたりする。夜に長時間寝かさずにおいたりする。被収容者は精神的に参ってしまう。

アイムの契約先は、航空会社である。

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 警備会社に対しては、「本人からお金が取れるときは、取ってください」ということになっている。うちは入管での取り調べの通訳もやっている。取り締まり月間(週間)の対象国は、特定の国に対して特に取り締まりを強化する。中国人や韓国人がその対象である。取り締まり強力週間は年間3回ぐらい各1週間ある。

取り立てた警備費用の行方

 本人から受け取った場合は2万4000円、航空会社に請求する場合は1万2000円、がアイムのものとなる。本人がお金を持っていれば、本人から取ってください、と航空会社からいわれている。本人から取った方が、アイムとしては収入が多い構造になっている。

 レストハウスに宿泊した場合はたとえば、500ドル預かって、3万円を警備費として取り、食費などレストハウスの宿泊費を支払ったうえで、残りを本人に返すということをする。

 レストハウス等の「上陸防止施設以外」で留め置くときは、警備費用(いわゆる廊下での見張り費用)としてお金を請求する。JALとアシアナは、1時間警備員1人あたり1500円、その他の航空会社には1時間2000円の割合で請求する。

上陸防止施設の管理、密室での暴行

(注:上陸防止施設は全国で4カ所。成田に2カ所、関空に2カ所、他にレストハウスがある。)

 昨年の6月末までは、アイムは成田の上陸防止施設の管理をしていた。そのときの話である。居室に上陸拒否をされた外国人を閉じこめ、飲み水を出さず、電気を消して放置する、といった対応をしたことがある。これも上司の命令である。

 こちらから一方的に机をぶつけてみたりする。ここ(上陸防止施設)ではソファーのある「休憩室」でよく暴行を加えていた。

 現在、(昨年1999年7月以降)ではアイムは降ろされ、上陸防止施設の管理は「協和警備」がやっている。

 ペルー人の自殺未遂者の事件もあった。アメリカン航空のダラスからの便で到着した人である。剃刀で自殺を図った。見つけたとき、壁にも血が飛び散っていた。止血だけして病院にもつれていかず、医者にもみせず、入管にも、報告はしなかった。

 いきなりおかしくなって暴れ出した人もいた。シーツでぐるぐる巻きに、手を縛った。私自身の殴った回数は5回ぐらいである。「ちょっと手伝ってくれ」といわれて殴ったこともある。お金の問題で暴行がおきる。初めて会った人だから恨みがあるわけではない。

アイムの控え室が暴行の現場

 現在のアイムの仕事は、入管の入国審査を終えた外国人の身柄を預かり、上陸防止施設やレストハウスまで連れて行くの間の警備と、警備費用の取り立てである。

 入管から身柄を預かると、第二ターミナルの地下に連れて行き、そこで車に乗せ、第一ターミナルの時計台のところにある駐車場棟2Fの「控え室」に連れて行く。そこで暴行を加える、というのが昨年の7月以降アイムが行なっている暴行である。

 暴行は7時・8時以降の夜に行なわれる。その時間だと、航空会社の人も概ね帰っているので聞かれる心配がない。上陸防止施設の管理をしていた頃は、そこは密室なので、昼もやっていた。国籍を選んで暴行を加える。

国籍を選んで暴行を加える

 アメリカ人や先進国の人たちに対しては、大使館がうるさいのでやらない。

 シンガポール航空は客を大事にする。「客から取るな」と航空会社からいわれている。それでもアイムはお金を取って、シンガポール航空の職員には会わせないようにして送り返す。つまり客からとって、航空会社からもとって、二重取りとなる。

航空会社の職員も承知しているはずだ

 航空会社の人たちは、こうした実態を薄々知っているはずだ。とくにJALの控え室はすぐ近くにあるから知らないはずはない。JALの女性なんか、しょっちゅう「いくら持ってました?」などと聞いてきた。「あの人は頭に来たから、お金を取っちゃってください。」とJALの職員からいわれたこともある。お金を徴収するというのは、航空会社にしてみれば手間のかかることだ。本来航空会社のやることである。それを私たちがサービスでやって、上乗せをとっているということだ。



入管収容施設問題を考える、アリさんとジェインさんのホームページ

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