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一生付き合える趣味と出会おう

FLY FISHING

軽いフライを技術で飛ばす。キャスティングを練習する。
釣り上げるだけが目的じゃないんだ。
ストイックで美しい、様式美の世界にようこそ

 フライの発祥は古く、古代マケドニアとも言われている。15世紀の末にイギリスで広まり、その後、アメリカで発展したスポーツフィッシングである。トラウト(マス)を釣るイメージが強いが、実際には、渓流ではアマゴやヤマメ、大河や湖ではバスやイトウ。海ではスズキやサケなど、どんなステージでも釣れる。

 釣りの中でも、フライフィッシングは難しいとされている。フライとは、羽虫などサカナのエサを模した疑似餌(毛針)のこと。主に鳥の羽根を材料に作るため、ルアー(ルアーも疑似餌)に比べて非常に軽い。なにしろ、水に沈ませて使うだけでなく、浮かせても使うのだ(ドライフライという)。吹けば飛ぶように軽い。フライが難しいといわれるのはそれゆえだ。通常の投げ釣りやルアーフィッシングはオモリやルアーの重さを利用して、遠くに投げ込める。だが、軽いフライにはそれができないのだ。代わりに身につけなければならない技術がある。それがキャスティングだ。

 キャスティング、それはロッド(竿)を振って、フライを飛ばすことをさす。フライラインという太い特殊な糸の重さと、ラインに与えられた運動エネルギーによって、 重量のないフライを遠くまで飛ばすのだ。簡単に説明すれば、時計の11時の角度までロッドを引き(バックキャスト)、手首を使わないで2時の位置まで振って(フォワードキャスト)ビシッと止める。力任せではどうにもならない。フライはフライ自体の重さではなく、フライロッドの反発力とラインの重さ配分によって飛んでいく。上手なキャスティングをすれば、ラインは滑らかなループを描き、目標に向かってまっすぐに飛んでいく。フライフィッシングで釣れるかどうかは、1にも2にもキャスティングなのである。狙った場所に思い通りにフライを落とせなければ、成果もあげられず、楽しさを味わえない。上級者は約30ヤード(27m)あるすべてのラインを飛ばしてしまう。簡単ではない。初心者はまず5メートル先の目標に飛ばすことを目指そう。

 なぜ、大人の趣味にフライフィッシングが似合うのか。答えはそのストイックな様式美にある。
 92年に公開され、日本にフライフィッシングを浸透させた、映画『リバー・ランズ・スルー・イット』。無鉄砲な性格から賭けポーカーにはまり、危ない道に入りこんだ主人公、ブラッド・ピットが、父親に習ったフライフィッシングをとおして成長していくさまが描かれている。モンタナの雄大な自然をバックに、ロッドが滑らかな身のこなしで揺れ、空に舞ったラインは水面に溶け込んでいく。水と木々で出来た静かできれいな時間を、永遠のように釣りをして過ごすのだ。そして、人が美しく生きるとはどういうことなのかを考える。経験者なら誰でも思うはずだ。フライの世界をよく表している−−。

 魚を釣りあげることだけが目的なら、餌やルアーを使えばいいのだ。魚群探知機を使ってまで魚を追いかける海釣りだってある。フライフィッシングはそうではないのだ。効率の悪さをわかっていながら、キャスティングを練習し、毛ばりを選ぶ。渓流を歩いても、最初は釣れないかもしれない。キラキラした宝石のような魚に出会うまで、半年かかるかもしれない。けれど、それでもいいのだ。
 フライフィッシングは釣りの形をした、幸福の探究なのだから。




まずは管理釣り場から始めよう

 入門者にとって道具選びは敷居が高い。ロッドやリールなどのタックル(釣り道具)には単位や番号が表記されている。フライフィッシングは、使うフライラインの太さによって、ロッドとリールが決まってくるのだ。ロッドの根元には#4とか#6(4番、6番と読む)といった番手で適合ラインが表示されている。ラインは番手の数字が大きくなるほど太く、重くなる。適合ロッドはそれに応じた硬さなのであり、リールもそのラインを納めるのに必要なサイズになるわけだ。ラインは#1から#10以上まである。どれを選べばいいのか。肝心なのはどんな魚を釣りたいのか、だ。
 海や湖で釣りたいなら、ある程度の飛距離と風の影響を考えて太いライン。川や渓流なら細いラインが必要になる。だが、初心者がフライのタックルを持って湖や渓流にいっても、まず釣れない。最初に行くべきは管理釣り場だ。魚を放流してある人工的な釣り場。四角いプール状の釣り堀や、人湖タイプ、渓流整備型など様々である。最初の一匹を釣り上げれば、フライフィッシングの楽しさや優雅さが実感できるはずだ。管理釣り場から、渓流釣りにデビューする人が多いが、その場合は#4か#5のロッドがおすすめだ。

フライロッド/スコットA2 4ピース8フィート#4 3万8500円
フライ用の竿。素材はカーボングラファイトが主流。価格は1万円前後から10万円を越えるものもあるが、長く使うならには3万前後がおすすめ

フライリール/オービス クリアウォーター クラシックⅡ 5964円
大物とのやり取りのとき以外は、フライラインの収納場所としての役割がほとんど。リールの優先順位は高くない。予算の許す範囲で十分

フライライン/サイエンティフィックアングラーズ ウルトラ4 6594円
芯の編み込み糸に、重さや浮力、しなやかさなどを出すための特殊なコーティングを施してある糸。種類は豊富で、対象魚やフィールドで変わる


ベスト/フェアリーグッドフィッシャー コンプリートリーⅠ フェザーライトベスト 2万1000円
フライベストはウェアというより道具箱。いたるところにあるポケットに小道具を詰め込む。お洒落さも大事。自分に似合うものを選びたい

ランディングネット/アキスコ カウリネット9975円
魚を取り込むために使う網。フライに使われるものはほとんどが柄の短い木製である。リリースを前提に、キメの細かいネットが増えてきた

フロータント/フルックス kty3フロータント1470円
ドライフライの浮力を高める溶剤。水面を割って魚が食いつくため、ドライフライに魅力を感じる人は多い。ペースト、リキット、パウダーがある

フライ/各種158円
疑似針。大きく水に浮くドライ、沈むニンフ(水生昆虫の幼年期を模したもの)、ウェットフライ(水面へ向かう成虫)ストリーマー(小魚)がある

リーダー/ダイリキ スプリングクリークリーダー 10フィート 242円
フライラインとティペットの中間に結ぶテーパー付きの糸。ラインとの接合部が一番太く、フライにむかって徐々に細くなる構造だ

ティペット/ダイリキ ベルベットティペット 30m巻 756円
リーダーの先につなぐ、テーパーのないナイロンライン。リーダーの太さ(Xで表され、数字が小さいほうが太い)に合わせて用意

インジケーター/CFE ストライクマーカー 378円
フライを沈めて釣るときに必要な、フライフィッシング用のウキ。もしくは、目印。ウェイトとセットで使う。シール式のものが簡単、手軽

フォーセップ/アキスコ 630円
ライ用の針はずし。先が曲がったタイプもある。深く飲まれてしまった小さなフックは手ではずすのは困難だ。ひとつは持っておきたい

リーダークリッパー/ティムコ 860円
リーダーやティペット、結び目の余り糸をカットする、フライ用糸きり。頻繁に使うため、ベストにぶら下げておく

ストマックポンプ/フライライト 1470円
釣り上げた魚の胃の中ものを吸い出す。そこに住む魚がなにを補食べているのかを調べることで、使うフライの参考にする




ガーデニング三昧

練習あるのみ! いざキャスティング!

フライはロッドの反発力で飛ぶ。ロッドは持ちやすい握り方でいい。右手の手首を耳の高さあたりで振るようにすれば疲れが少ない。肘が時計の針の中心というイメージで、10時の位置から2時の位置まで振る。手首は動かさない

ますはバックキャスト。前から後ろへ、時計の針の10時の位置でロッドをビシっと止める。ロッドの手元が急に止まることで、先端が大きく後ろにしなる。それがフライラインを運ぶ力になる。

ロッドが後方で伸びきったら、時計の2時の位置に振り、ビシッと止める。そうするとロッドの反発力を追って、ラインは前方へと伸びていく。狙った場所に落とせなければならない。